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紫外線(UVB)測定器の製作

はじめに

カメレオンなど昼行性の爬虫類の飼育には紫外線が欠かせません。中でも波長 315~280 nm の光は UVB とよばれ,体内でビタミン D を合成するのに必要とされます。ビタミン D はカルシウムの代謝に必要な栄養素です。

爬虫類の飼育では通常,紫外線ランプを用いるのですが,使っているうちに劣化します。しかも紫外線は目に見えないので,見た目で劣化具合が分からないという問題があります。

そこで紫外線(UVB)の強度を測定できる測定器を自作することにしました。

仕様

  1. UVB が測定できる
  2. UVB 以外(可視光線や UVA)には反応しない
  3. 直射日光から紫外線ランプまで測れる
  4. 液晶表示
  5. 乾電池駆動

センサの選定

仕様の 1 と 2 を実現するため,UVB だけに感度がある紫外線センサ(フォトダイオード)を探したのですが,なかなか見つかりませんでした。

ようやく見つけたのが,Advanced Photonix 社の SD012-UVB-011 という製品です。Digi-Key で 1 個,購入しました。

SD012-UVB-011

* 2018 年現在,SD012-UVB-011 は,最少発注単位 250 個でないと購入できなくなったようです...

* UVB と UVA に感度があるフォトダイオードは珍しくありません。秋月電子通商などで容易に購入できます。

システム構成

フォトダイオードの原理はざっくりいうと太陽電池と同じです。 光(今回の場合 UVB)が当たると,逆方向に微小な電流(光電流という)が流れます。 この光電流をセンサアンプ部で電圧に変換し,増幅したのち,マイコン内蔵の AD 変換器でデジタル化して,LCD に表示することにします。

システム構成

I-V 変換回路(電流-電圧変換回路)

センサアンプ部では,まず,オペアンプを使った I-V 変換回路で光電流を電圧に変換します。

理想的なオペアンプの入力電流は \(0\) なので,フォトダイオードから流れ出た光電流 \(I\) はすべて,帰還抵抗 \(R_f\) に流れます。 また,オペアンプの入力端子間にはバーチャルショート(仮想短絡)が成立しているので,反転入力端子の電位は \(0 \rm V\) です。 よって,出力電圧 \(V_{out}\) は, $$ V_{out} = -I \times R_f $$ となります。

I-V 変換回路

フォトダイオード SD012-UVB-011 のデータシートによると,光電流の大きさは UV インデックス 14 のときで,約 23 nA です。 紫外線ランプの場合だともっと小さいと想定されるので,nA オーダーの電流を取り扱うことになります。 よって,オペアンプは入力バイアス電流が,これより十分小さいものを選ぶ必要があります。 今回は秋月電子通商で扱っているものの中から LMC662CN を選択しました。LMC662CN のデータシートによると入力バイアス電流は最大で 2 pA です。

帰還抵抗 \(R_f\) は 10 MΩ としました。 したがって,UV インデックス 14 のときの出力電圧は, $$ \rm - 23 [nA] \times 10 [M\Omega] = - 0.23 [V] $$ 程度となります。 AD 変換器に入力するには少し小さいので,10 倍の反転増幅回路を通すことにします。

オペアンプの電源はマイコンに合わせて ±3.3 V としました。 チャージポンプ IC,LTC1144 を使って,+3.3 V から,-3.3 V を作っています。

以上をまとめて出来上がったセンサアンプ部の回路図を下図に示します。

センサアンプ回路図

センサアンプ部はタカチ電機のケース PS-50B に収めました。

センサアンプ内部 センサアンプ外観

マイコン

マイコンは STMicroelectronics の NUCLEO-F031K6 を使用しました。

NUCLEO-F031K6

LCD

LCD は I2C 接続の 2 行 8 桁,キャラクタ液晶モジュール AQM0802A を使いました。→小型 LCD モジュール AQM0802A を使う

AQM0802A

完成

マイコンと LCD,電池,スイッチなどをまとめてタカチ電機製のケース GHA7-3-11DB に収め,プログラムを書いて完成です。

本体内部

試しに,手持ちの爬虫類飼育用紫外線ランプを近づけてみると,それらしい値を表示することができました。 表示は上段が放射強度 [mW/cm2],下段が UV インデックスです。

本体外観


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